2019.01.23

〜中国の今を知る〜第2回:中国訪日旅行の状況

世界第2位の経済規模を誇り、成長著しいアジアマーケットにおいても最大の消費パワーを持つ中国の現状を様々なデータから読み解くシリーズ〜中国の今を知る〜。第2回のテーマは“日中各種の最新統計データ”から中国をメインに中華圏訪日旅行の最新状況をお知らせします。

Travel in Asia city – The traditional city Japan Kyoto

目次 

  1. 中華圏訪日市場の現状
  2. 中華圏訪日客の消費額
  3. 人気観光スポット
  4. 観光の特徴及び行動パターン
  5. インサイト

1.中華圏訪日市場の現状 _____

中国からの訪日客は800万人を突破。

中華圏(中国・台湾・香港)では1500万人超(2018年)

2018年の訪日外国人観光客のランキングを見ると、第1位が中国で2017年より102万増の838 万人となり、初めて800万人台に達しました。以下、第2位韓国(754万人)、第3位台湾(476万人)、第4位香港(221万人)となっています。中国、台湾、香港の中華圏からの訪日観光客が半数近く(49.2%)を占めています。今後もさらなる増加も見込まれる中華圏旅行客の獲得はインバウンド成功の鍵と言っても過言ではないでしょう。

日本政府観光局(JNTO)発表データをベースにM-telligentが作成
日本政府観光局(JNTO)発表データをベースにM-telligentが作成

2018年の最新データでは、個人観光客の日本観光ピークは2月の春節休暇、4月のお花見シーズン、6月〜8月の夏季休暇、10月の国慶節連休の期間となっていますが、どの月ものべ100万人を超えており、中華圏でも休日に海外旅行を行うことが習慣化しています。中華圏ユーザーに対するインバウンド対策はとても重要であることが伺われます。

日本政府観光局(JNTO)発表データをベースにM-telligentが作成

2.中華圏訪日客の消費額_____

2018年の中華圏旅行者の消費額は2.5兆円(全体の約55%)

中国人旅行客の1人あたり旅行支出は22.4万円

観光庁の2018年全国調査結果(速報)では、2018年の訪日外国人旅行消費額は4兆5,064億円となっています。そのうち中国が1兆5,370億円(構成比34.1%)と最も大きく、また中華圏(中国、台湾、香港)合計は2兆4,564億円(構成比54.5%)と日本での外国人旅行客消費の半分以上を占めています。

訪日外国人(個人旅行)1人当たり旅行支出は15万3千円となっています。中国は22.4万円、香港15.4万円、台湾12.8万円、韓国7.8万円という順になりました。1人あたりの消費額でも中華圏旅行客の購買パワーの高さが伺われます。

3.人気観光スポット  _____

観光地は「東京」「大阪」「京都」がTOP3
観光スポットは「清水寺(京都)」「伏見稲荷大社(京都)」「浅草寺(東京)」が人気

2018年の訪日外国人全体の人気観光スポットランキングは、京都が一番人気ですが、広島、石川、和歌山なども地方もランクイン。東京や大阪、京都だけでなく地方観光への人気が高まっています。

中国人訪日客では、「清水寺(京都)」「伏見稲荷大社(京都)」「浅草寺(東京)」がTop3。中国人観光客の間では、京都、東京、大阪のような日本の現代的雰囲気が味わえつつ文化的側面を十分に堪能できる都市が人気を集めています。

  台湾・香港からの訪日客は、東京や大阪などの主要都市圏だけでなく、地方都市にも訪問しています。中でも富士山、北海道や千葉県(ディズニーリゾート)が人気のスポットで、これらの観光地の経済に貢献していると考えられるでしょう。

4.観光の特徴・行動パターン  _____

「爆買い」が落ち着き、”モノ消費”から”コト消費”へ

  主要都市・有名観光地から地方へ

中国人観光客の特徴としてよく知られているのは「爆買い」ですが、越境ECのネットショッピングで簡単に日本商品を購入できるようになり、「爆買い」消費は落ち着きました。また中国人の嗜好も、モノ消費からコト消費へ移りつつあります。ディープな旅行体験、温泉やグルメ、アニメ、コスプレ、日本の四季、美容体験、酒造見学などに注目が集まっています。また、中国ではSNSの情報と口コミサイトが信頼されている傾向があります。中国でプロモーションをするにはSNSや口コミサイトも合わせて有効活用することが重要です。

台湾・香港人観光客は、訪日リピート率、個人旅行比率がその他の訪日外国人と比較して圧倒的に高いのが特徴です。「爆買い」が落ち着き、体験型のコト消費へニーズがシフトしていく中、観光ニーズは主要都市から地方へと変化しており、地方を訪れる台湾・香港人環境客はますます増えることが予測されます。また、訪日香港人旅行客は好奇心が強い人が多く、自分が参加できる体験やサービスを求める傾向があります。訪日台湾人旅行客は、日本に慣れ親しんでいるため、よりディープな地方での体験と、日本人のマナーや文化への高い関心を持っています。

5. インサイト  _____

成長著しい中華圏旅行市場において、距離的に近くかつ文化的背景も共通項の多い中華圏旅行者は、その経済発展に伴い消費額も多く、今後も非常に優良な顧客として期待できます。現状の高い満足度に甘んじることなく顧客のニーズに応える戦略をとることで、日本企業のさらなる業績向上に寄与するはずです。

中華圏訪問客の行動パターンから見ると、「爆買い」が落ち着き、体験型のコト消費へニーズがシフトしていく中、観光ニーズは主要都市から地方へと変化しています。 訪日観光客の需要を取り込むことを検討しているならば、日本が提供できるコト消費について、それぞれの特性を理解し、訪日観光客にわかりやすく伝えるプロモーション企画が、不可欠といえるでしょう。